デュッセルドルフで泊まった宿にはがっかりしてしまった。
私が宿泊したのは、a&oホステルというドイツ国内に何軒か展開するチェーンホステルである。
価格は10人部屋で€21。
最初に指定されたベッドはだれかに使われており、替えてもらった部屋はアウトレットが壊れていて、さらに同室のゲストが大音量でラジオを聞いていた。
夜の10時ということもあり、歩き疲れていた私はさらなる部屋の変更を諦めベッドに入ると、泥のように眠ってしまった。
翌朝は列車に4時間ほど揺られて一路ベルリンへ。
滞在先は中央駅から1駅離れたアレクサンダープラッツにある「PFEFFRBETT HOSTEL BERLIN」。
チェックイン時に2人組の日本人らしい若者がいた。
彼らの話す英語のイントネーションには聞き馴染みがあった。
一瞬話しかけようか迷ったが、やめておくことにした。
私はここ数日日本語での会話に飢えていたが、彼らはグループなのだ。
私が話しかけても邪魔するだけだろう。
そう思うことで人見知りの自分に言い訳をした。
今回の宿は初めてホステルワールドで予約した。
6人部屋一泊€22とホステルワールド経由での予約が最安値だったのだ。
ホステルワールドのメリットであり、デメリットであるのが、チャッティングルームというツールである。
同じエリアに滞在している者同士で、ラインのグループのようにチャットできるのだ。
初めてということもありチャットに参加してみたら、私はまったくの場違いであることに気づいた。
内容と来たら、どこのクラブがよかった、どこのバーが深夜までやっているなど。
要するにパーティーピーポーの集まりであった。
同部屋のブルガリアから来た2人組の女の子もその類であった。
チェックインしたとき昼下がりだというのに熟睡している女の子たちがいた。
後から聞いたところによると毎晩ダウンタウンへ繰り出しては朝までクラブで遊んでいるらしい。
せっかくベルリンに来たんだからと言いかけたが、やめておいた。
旅の仕方は人それぞれである。
バックパッカーには主に2種類のタイプがいる。
その国の歴史・文化に触れたいやつか、その国の異性と遊びたいか。
私はもちろん前者だったので、チャットルームかいち早く抜けて、夕食をとることにした。
宿の近くにおいしそうなカリーブルストのお店があった。
ドイツ語のメニューしかなかったが、英語とかなり似ているので何となく読むことができた。
私はカリーブルストとポテトのビールのセット€11.5を頼んだ。
カリーブルストとは、ソーセージにケチャップとカレー粉を付け合わせたものである。
シンプルな料理であるが、お店に寄ってまったく味が異なる。
実はマンハイムでもファーストフード店のようなところで食べてみたのだが、そこはソーセージがパサついており、全く味気がなかった。
しかしながら、今回のレストランは正解であったと断言できる。
やはりベルリンが発祥ということも関係しているのだろうか。
前回食べたカリーブルストよりも深い味わいがした。
店内には、家族連れやカップル、仕事帰りの男性などひっきりなしに入ってくる。
私がこの旅で得た教訓のひとつに、「地元客の絶えない店に行け」というのがある。
英語のメニューはない方が良い。
そこでは必ず地元の人が好むローカルの食べ物が美味しく、そのうえ安く食べれるからある。
日本にいるときは、お店探しにはグーグルを使っていた。
メニューを事前に確認したり、口コミをみたり。
だが、今の私のオフラインの環境にグーグルは存在しない。
そうなると、自分の足で行って自分の目で確かめてみるしかないのである。
昔の人もこんな感じで行きあたりばったりでお店を探していたのだろか。
時には人に聞いたりしながら。
私はヨーロッパに来てから、多少時間はかかるけれども、自分の足でお店を探すのも楽しいと思えるようになっていった。
そうして入ったレストランが安くて美味しかったときの喜びはグーグルで検索して見つけたときよりも何倍も大きいのである。