翌日は乗り合いのシャトルバスに乗り、オーストリアのハルシュタットへと向かった。
バスはすぐに高速に乗り、4時間ほどで到着した。
990チェココロナ。日本円で約6,000円である。
電車で行くことも出来たのだが、乗り換えが多くて1日で到着するのが難しく、宿泊代を節約するためにもバスを予約した。
バスから降りると、そこにはきれいな湖畔と湖を取り囲むようにして美しい山々が広がっていた。
山の頂上あたりはまだ雪が残っているらしく、ところどころ雪化粧をしていた。
私はコインロッカー代節約の為に、大きなリュックを背負ったまま周囲を散策した。
町の中心地には、山の頂上に行くロープウェーが運航していた。
だが私はその運賃を節約するため、バックパックを背負って頂上まで約1時間30分の登山を観光した。
他の人の何倍も苦労して上った分、頂上からの景色は人一倍であった、と思いたい。
山奥の為、夏だというのに羽織が1枚いるほど涼しかった。
湖に足をつけると、冷たい水が身体を芯から冷やした。
私は登山を終え、湖畔でしばらく休憩したら、今夜の宿へと向かった。
本来はハルシュタットに泊まりたかったのだが、町にはペンションしかなく、かなり高額であった。
私はあきらめて隣町のバッド ゴイスラムをの宿を予約することにした。
隣町といっても決して安くはなく1泊36€で5,600円もする。
60代くらいのオーナーがかなり丁寧に観光案内をしてくれた。
どうやら今日行ったハルシュタットのさらに奥に高山があり、ケーブルカーに乗って雪山の景色を楽しむことが出来るらしい。
私は彼の熱意におされて、急遽延泊することにした。
夜ごはんは同部屋のアメリカ人の女の子と食べることになった。
彼女は大学生で2週間友達と旅行した後、1人だけ残って旅を1週間ほど続けているらしい。
1人旅は楽しいけれど、ご飯が大変いう彼女の意見に私は大いに賛成した。
ご飯どき、特に夜ご飯は1人で食べると寂しい。
異国の地であればなおさらである。
我々は久しぶりのノンボッチ飯にビールで乾杯をした。
夕食の後は1人で散策をした。
バッドゴイスラムは山と山の間に流れる小さな川沿いの町だ。
マンションやビルはなく、川沿いに小さな古民家が立ち並ぶ、自然豊かな町を私はたちまち好きになった。
辺りが暗くなり、道に迷いかけていると、宿の主人が犬を連れて散歩をしていた。
迷ったみたいだと伝えると、代わりに一緒に犬の散歩をしないかと誘われた。
彼の犬はゴールデンレトリバーで名前はスキッパーと言うらしい。
スキッパーは川に入ろうとしたり、川辺の花を食べようとしたりと、元気いっぱいであった。
宿の主人は散歩中、ご近所さんと何どか立ち話をしていた。
私も覚えたてのドイツ語の挨拶をすると、微笑み返してくれた。
英語と似ているので、聞き取れるかなと耳をそば立てていただが、壊滅的に聞き取ることは出来なかった。
やはり英語は英語。ドイツ語はドイツ語である。
宿に戻ると1階のバーで1杯ビールをおごってくれた。
初めてのオーストリアでたくさんの人と触れ合うことができた。
お酒の勢いも借りて、私はベッドに戻るとすぐに眠りについた。